骨盤底筋の必要性
骨盤底筋の鍛え方と効果
骨盤底筋とは、骨盤の底(恥骨、尾骨及び坐骨の間)にある筋肉の総称であり、骨盤内臓器を下から支え、排尿、排便をコントロールする働きがあります。
この筋力が落ちることにより、内臓が下に下がってきて、おなかが出たり、内臓の機能が低下して代謝が落ち脂肪も付きやすくなります。
筋力低下だけではありませんが、加齢とともに臓器が骨盤から逸脱して骨盤臓器脱を引き起こすこともあります。妊娠を経験したことのある方の50%以上が軽症のものでも症状がみられるそうです。
そしてもう一点、筋力低下により尿漏れが起きやすくもなります。
(骨盤底筋筋力低下による症状)
・尿漏れ
・頻尿
・便秘
・ポッコリおなか
・代謝低下
・骨盤臓器脱
・腰痛
・O脚、X脚
・プロポーション崩れ
構成する筋肉は浅層と深層に分かれます。
(深層)
・恥骨直腸筋
・恥骨尾骨筋
・腸骨尾骨筋
・尾骨筋
(浅層)
・球海綿体筋
・坐骨海綿体筋
・外肛門括約筋
・深会陰横筋
・浅会陰横筋
によって構成されます。
骨盤底筋群は上部から臓側骨盤隔膜、骨盤隔膜、尿生殖隔膜という3層構造になっています。
①第1層:臓側骨盤隔膜
骨盤腔内の臓器の表面を覆い、臓器間を埋める結合組織
②第2層:骨盤隔膜
肛門挙筋と尾骨筋からなる
・肛門筋
前部:恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋
後部:腸骨尾骨筋
・尾骨筋
③第3層:尿生殖隔膜
恥骨結合と、両側の坐骨結節との間にあり、上下の筋膜層からなりその間に浅・深会陰横筋、球海綿体筋、坐骨海綿体筋、尿道括約筋がある。
骨盤底筋群にアプローチとして対象となるのは、第2層の骨盤隔膜内の筋肉になります。
骨盤底筋群は休息時にも常に活動して、姿勢保持筋としても重要な役割があります。
骨盤底筋には速筋と遅筋があり、速筋はくしゃみなどをした時に瞬時に尿が漏れないように尿道を閉める役割があり、遅筋は尿道を閉め続ける筋肉で尿意を感じてから排尿をがまんする働きがあります。
速筋と遅筋の割合としては遅筋のほうが多いという特性があります。(速筋30%、遅筋70%)
この遅筋繊維は姿勢保持に重要な比較的弱い力で持続的に働く特性があります。
姿勢保持のために上肢を上げる際先行的に作用する予測的姿勢制御の反応が腹横筋にはありますが、同時に骨盤底筋も作用します。
体幹の安定性や姿勢保持に必須なのが、体幹のインナーマッスルです。
これは、横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋によって構成されます。
これらがバランスよく働くことで、腹腔内圧を保ち腰部に負担のかからない姿勢を保つことができます。
骨盤底筋の筋力低下などにより、下側からの支えが不十分になり内圧が保てなくなって腰痛を起こすこともあります。
呼吸運動の際にも横隔膜と協調して骨盤底筋が働きます。
息を吸う際は横隔膜は下降し、骨盤底筋は弛緩します。
息を吐く際は横隔膜は挙上し、骨盤底筋は収縮し挙上します。
女性の場合、妊娠期にはリラキシンと呼ばれるホルモンが分泌されます。出産の際骨盤の中の産道を通って赤ちゃんが生まれてきますが、本来の骨盤の大きさでは通ってこられないため靭帯や関節を緩めて骨盤を広げるために出てくるホルモンです。
これは出産後次第に分泌しなくなるものですが、出産で骨盤が歪んだ状態のままで固まってしまうことがあります。
この出産のときに骨盤が広がるので骨盤底筋も一緒に緩みますが、骨盤が歪んだままで固まると、骨盤底筋にも余分なストレスがかかってきてしまいます。
ですので骨盤底筋を鍛えるのも重要ですが、同時に骨盤を矯正することも必要になってくるわけです。
では、これらの筋肉を鍛える方法ですが、まず呼吸にも関与するということで一番簡単な方法としては
腹式呼吸になります。横隔膜と協調して働くことから、横隔膜も意識しながら行ってください。
ケーゲル体操
・仰向けになり足を肩幅に開いて膝を立てます。(リラックスした状態で)
・肛門と尿道を閉めて体の中に引き上げるように力を入れて5秒キープ
・キープ後に10秒間リラックス
・5回5セットを目安に行ってください。(あくまでも回数は目安です。)
この運動の際に注意することとして、腹筋に力が入らないように行ってください。
速筋繊維を鍛えるには、グッと閉めてすぐ緩める動作5回を5セット(速いテンポでの運動)
遅筋繊維を鍛えるには、5秒間グッと閉めて10秒間緩める動作5回を5セット(持続性のある運動)
骨盤が歪んでいる場合は骨盤を矯正してもとの位置に戻し筋肉へのストレスを改善して、こういった筋力トレーニングを行っていくことで効率よく筋力アップが図れ、上記に書いた症状の軽減にもつながります。
(2020年4月20日)